haien sorch

音楽にまつわる個人的備忘録

◯We lost the Sun/Competor

(画像は​We lost the Sun | Competorより引用)

最近腰を据えてアルバム聴けない。少しだけ時間ができても一気に聴けないのはすこし嫌だなあと思ったり、移動中に聴くと景色のこと考えてしまうし外の音で埋もれてしまうし、などと見送ったりして、自分でハードル上げてとっつきにくくなってしまっている。
自分は考えた挙句原理主義に陥って結果廃れるということをやりがちなので、もうあまり気にしないでまずはとっつくところからやろうと思う。
そういう風に何枚か聴いたので書く。
Competorはニコニコ動画でこんぺいとうPとして知られている。俺もツイッターをフォローしてからボカロP以外に色々やっていることを知った。
オリジナルアルバムがフリーダウンロードできると知って聴いてみた。
アンビエントというのかな?はじめの方は特に無調部分も多く、様々な電子音が突如鳴っては途切れる。でも段々とある形になっていって、しかしそれも急に崩れたりする。
アルバムは大きく3つに分かれていて(Darkness、Different types of creatures、Light to be is yourself)、曲名はそれぞれの後ろに数字が付くことで成っている。
一番の特徴は、アルバムを通してBPM60で時報のタイマーのような音が鳴っていることで、曲間をまたぐ時も寸分の揺らぎもなく徹頭徹尾60で鳴り続けているので、絶対的な時の流れを感じさせつつ、全体にとても統一感が生まれている。
その音に寄り添うように音が入ってきたり、時には全く無視する形でよく分からない音が入ってきたりする。
音の印象はかなり暗い。歌詞も無く言葉の手掛かりはアルバムと各曲のタイトルだけなので、なおさら暗い。
けっこうチープな音も多いけど、そのチープさこそが肝なのだと思う。コード進行(?)や展開に物語を感じ、細かい具体的な音に想像力を掻き立てられる。自分はDarknessの終わりと共に自分の知っている世界は終わってしまい、暗雲の下で有象無象が蠢く様がDifferent〜で描かれていると思っている。この有象無象は人間の感情を表しているようにも思えてくる。
しかし作者も言っていたが、アルバムの終わりにはわずかな希望を持たせているという。これは俺も感じて、Light to be〜01はどことなくかすかな萌芽を想わせるし02からは長調の響きもちらつき始めて、だんだんと増していく。
Light〜04が盛り上がりのクライマックスで、アルバムを通して一旦壊れた後で得たものが穏やかかつ重厚に歌われれるけど、Light〜05はうってかわって壊れかけた機械が終わりに向かいながらか細く歌うようなフレーズがあったりして、とても切なさを感じさせる。
新たなはじまりに向かって終わっていく感じが丁寧でいいと思う。
全編通して想像力が本当に大切で、その意味では絵本を見ているようだ。
もっと情熱があれば各曲の具合を書いたりするんだけど残念ながら今の自分にはないのでこの辺にする。
このアルバムのおかげで、雰囲気を楽しむという曲の新しい楽しみ方を知ったような気がする。よかった。


13曲

Different types of creatures 04
Light to be is yourself 03
Light to be is yourself 04