haien sorch

音楽にまつわる個人的備忘録

◯美化/麓健一

美化

これもたまたまツイッターで見つけた歌手。YouTubeで何曲か聴いてみたら雰囲気がとても良かった。


歌とギターと打ち込みのドラムやシンセなんかでほとんどできている。決まったコードやリフやメロディなんかをずっと繰り返す曲がとても多かった。ほぼそんな具合に続いていくのにそれでも飽きなかったのは、印象的なメロディと雰囲気の良さのおかげだと思う。

歌のパン振りや質感が細かく調整されていて、同じ声なのに曲に厚みが出ている。

明るい和音の雰囲気でもどこか崩れていきそうなそうな感じがあって歌手の感受性の強さが伝わってくる。生きていく中で自然に積み重なっていく自分や他者の欺瞞や、最も近しい人との関係などが時間を経てかすかな腐臭を漂わせるような感覚を覚えた。
歌い方も掠れ声や震え声が目立って切迫した印象を強くするし、気がつけばだんだんと歌の内容に引き込まれている。歌われているのは多かれ少なかれ誰もが抱く感情なんじゃないだろうか。

美化というタイトルが表す通り自分自身を美化してきた世の中をさらけ出すような、もしくはその本来のアンバランスな世の中に歌で美しさを見出すようなアルバムだった。

16曲

十字
うぐいすの谷
余りに短い
踊り続けて
バリケード
コールドハート
17
郵便 #2