haien sorch

音楽にまつわる個人的備忘録

◯KARKADOR/P-MODEL

KARKADOR

平沢進は独特で他のアーティストと比べたら劣る部分も見えると思うんだけど、それを補ってなお余りある世界観と哲学を持っていてめちゃめちゃ好き。知れば知るほど引き込まれていく感じがする。
ただP-MODEL時代の曲はほぼ聴いたことなくて(ソロも実は4分の1程度のアルバムしか持ってないけど)、いざ聴いてみようと思ったんだけど、なんだこれ、、、?

かなり前衛的でショックだった。一回作り終えた曲をバラバラにして無理やり複雑にしてやろうと考えてるんじゃないかとすら思える。
LEAKという曲のソロ版(後から作られたセルフカバー)の爽やかな曲調が好きだったんだけど、初めて原曲を聴いたらすごくこれじゃない感があった。コードもメロディーもわざと不協和音にされている。頭痛の時に見るゆがんだ景色みたいな。

なんだろう。単純にあまり面白くなかった。なまじバンドとしての形を保っているからなおさら。せめてもう少しポップの枠組みがあれば良かったんだけど。

10曲

サイボーグ

 

◯TOWN AGE/相対性理論

TOWN AGE

 

最初に最新作の天声ジングルの方を聴こうと思ったんだけど、その前のアルバム聴いてないことに気づいた。
それまでのものはたぶんだいたい聴いてる。細かく覚えてないけど。

今までギターベースキーボード以外の楽器を加えてたことってなかったと思う。覚えてないけど。でもそれがうまく入っていい感じ!3曲目のYOU & IDOLのスチールパン?が特に良かった。

あんまりにも今までの覚えてなさすぎて今確認したけど思ってたより手が込んでた。すごくキャッチーな歌と声だけどその裏でこんなに複雑な工夫してたなんて…

ついでにメンバー脱退のことも調べたけど、3rdアルバムまで曲作りに深く関わっていた人たち(ベースとドラム)が2012年に抜けてからこれが初めてのアルバムらしい。意識してみるとメロディーから印象的なキャッチーさが少し抜けて、バンドもやや簡素になった気もする(主にギター。あれ?)。
ただ逆に、今作のほうき星みたいな徐々に雰囲気の広がる曲は今までなかった気もする。
歌詞にいきなり固有名詞が出てきてびっくりするのは同じだった。

5曲目の辰巳探偵の突然ローファイになって古いCMみたいなリフが始まるのたまらん。間奏のかすかにチュイィンって鳴るシンセ(パッド?)もいい。

10曲目のたまたまニュータウンはドラムもギターもいなくてエレクトロみたいだった。

10曲

YOU & IDOL
辰巳探偵
ほうき星

◯美化/麓健一

美化

これもたまたまツイッターで見つけた歌手。YouTubeで何曲か聴いてみたら雰囲気がとても良かった。


歌とギターと打ち込みのドラムやシンセなんかでほとんどできている。決まったコードやリフやメロディなんかをずっと繰り返す曲がとても多かった。ほぼそんな具合に続いていくのにそれでも飽きなかったのは、印象的なメロディと雰囲気の良さのおかげだと思う。

歌のパン振りや質感が細かく調整されていて、同じ声なのに曲に厚みが出ている。

明るい和音の雰囲気でもどこか崩れていきそうなそうな感じがあって歌手の感受性の強さが伝わってくる。生きていく中で自然に積み重なっていく自分や他者の欺瞞や、最も近しい人との関係などが時間を経てかすかな腐臭を漂わせるような感覚を覚えた。
歌い方も掠れ声や震え声が目立って切迫した印象を強くするし、気がつけばだんだんと歌の内容に引き込まれている。歌われているのは多かれ少なかれ誰もが抱く感情なんじゃないだろうか。

美化というタイトルが表す通り自分自身を美化してきた世の中をさらけ出すような、もしくはその本来のアンバランスな世の中に歌で美しさを見出すようなアルバムだった。

16曲

十字
うぐいすの谷
余りに短い
踊り続けて
バリケード
コールドハート
17
郵便 #2

 

 

◯He.art/Astrix

He.Art

M3で買ったコンピの中にめちゃめちゃツボな打ち込みの曲があって、サイケというジャンルを知った。落ち着いていて静かな4つ打ちなんだけどそれぞれの展開もその切り替わりも逐一格好いい。どうやらバンドのサイケとはまた違うみたいで(そっちのこともよくわからん)、このジャンルのことが知りたくなったのでたまたま見かけた人の曲を聴いてみた。

このアルバムはコンピのものより賑やかだった。といっても、少しずつ盛り上げていって落とす基本的な展開はやっぱり同じでとても格好いい。
なんかいつにも増して書きにくい。どの曲もだいたい同じような感じだからかもしれない。大きく分けると、コンピで聴いたようなキックとベースと最低限のハイハットだけで空間を作りつつ偶に入る合いの手のリバーブをめちゃ効かせるタイプと、常に何かしらの音が鳴ってるにぎやかなタイプの曲があった。前者の方が好きなのでこれからもそういうのを探していきたい。

10曲

Shamanic Tales
Alien Turned Human

◯Culcha Vulcha/Snarky Puppy

Culcha Vulcha

ツイッターでこの洋楽がすごく良いって触れ込みでメディアが紹介してたから聴いてみた。もはやツイッターでしか音楽知ってない。

とっつきやすいセッション!基本的にはファンクとジャズがないまぜな感じ。いい感じにキャッチーでポップだったから楽しく聴けた。終盤に複雑な拍子の曲が多くてちょっと聴くのだれちゃったけど。
メロディやフレーズが楽しいし楽器陣もさりげなくめちゃうまいからどんどん引き込まれる。
全部で何人いるのか知らないけど楽器の種類も本当に色々で、明るい曲はとても賑やか。10人以上いるんじゃないのかな。

ベードラをはじめとするリズム隊がめちゃめちゃ強い。特にドラムのビートの立体感がすごい。こんな凄さで色々なフレーズを叩くからかなり楽しい。
キックの質感が生々しかった。と言ってもバリバリ目立つような感じじゃなくて、耳の下の方を穏やかに占めてる感じ。
更にトランペットやフルート、サックスとかの管楽器もしっかり上手で渋いからなお良かった。ギターもキーボードも味がある。挙げだすとキリがない。

3曲目のGeminiはミドルテンポのしっとりした2ビートの曲だけど、主役のギターが別の生き物みたいだった。スライドギターって言うのかな?音程の上下がシームレスなんだけど、人が歌ってるみたいで凄い。
バンドなんだけどアンビエントとか落ち着いたハウスも少し感じさせる、めちゃいい雰囲気の曲だった。

4曲目のGrown Folksが特に良かった。ドラムの尖ったビートが凄くいい。いつも聴いてるロックのドラムと同じ仕組みの楽器とは思えない。この曲本当にすごいファンク、だけどソロ回しはジャズ。語彙力が尽きてきた。

6曲目のGØは細かいけどしっかりしたビートのリズムの上でブラスやキーボードが派手にやる曲だった。キーボードやリズムの感じでTOTOを少し思い出した。

最後のあたりは特に緩やかなセッションの曲が多くて少し眠くなってしまったけど、ラストのボーナストラックは賑やかでお茶目な感じで、各楽器の目立ち方もバランス取れていてアンコールのような具合で良かった。

どこを切り取ってもセッション力が高いし、程よく実験的で聴いたことのある感覚と聴いたことのない感覚のバランスがいい。
技術も聴き応えあってその上楽しい、すごく贅沢なアルバムだった。一回聴いただけじゃとても勿体無い。

10曲

Tarova
Semente
Gemini
Grown Folks
Jefe(Bonus Track)

◯たりないふたり/Creepy Nuts(R-指定&DJ松永)

たりないふたり



1〜2年前に名前聴き始めた時に興味を持ってそのままにしてたのをやっと聴いてみた。

普段全くラップ聴かないしフリースタイルダンジョンもたまたまテレビ付けたときやってた1回しか観たことないので他と比べてどうってことは分からないけど、あんまり面白くなかった。
出た直後に聴いておけばまた違った風に感じたかもしれない。残念。

5曲

中学12年生

◯マンパワー/□□□

マンパワー

ふとクチロロが聴きたくなった。前に聴いたアルバムにスカイツリーという好きな曲があるんだけど、こっちのアルバムには合唱曲スカイツリーというのがあったので聴いてみた。結果的につながりを少し匂わせる程度で(398mという数字がそれぞれ現在と一昨年頃の高さとして出てくる)、内容はだいぶ別物だったけど。

2〜3分前後の曲がパラパラとあったり途中に14分の曲が2つあったりする極端なアルバムだった。
マンパワーという名前の通り、ある曲では合唱、ある曲では言葉や声をたくさん使っている。ラップとボイパだけの曲もある。
作成年は2012年で、震災を受けて作られたようだった。

2曲目の合唱曲スカイツリー原発事故の影響をイメージさせて、漏れ出る放射線と道路の放射線にそれぞれ同じ伸びる・広がるという言葉を使ったり、いつからこんなに大きくなってたんだろうという言葉を主語を省いて使うことで暮らしの発展の表裏を同時に表していて面白かった。曲中にスカイツリーの名前自体が一度も出て来ないのも奥ゆかしくていいと思う。
タイトルの通り男女(成人?)が合唱してるんだけど、合唱部分は本式のやつではなく普通の人の歌い方でいくつかのシンプルなモチーフを簡単な混声で繰り返すのみだった。堂々と歌っていてセリフもはきはき喋るので演劇の人なんだろうか。

7曲目のいつかどこかでは別のアルバムの00:00:00をセルフアレンジしたものに更に別のアルバムのスカイツリーという曲の音を混ぜた曲だった。もしかしたら俺の知らない他の曲も混じっているのかもしれない。
00:00:00の日常の一瞬の些細な思いを大切に集めるテーマを、色々な人々のラップを使い具体的なエピソードに焦点を当てて、更に深く大きくしたような曲だった。

このアーティストに限った話ではないけど、震災後に作られたというバイアスが自分の中でかかると期待値も得られる感慨も大きくなる。上のふたつは今までクチロロを聴いてきた中でもかなり良かった。
3曲目のYou&Iがどことなく西友で流れてそうなオシャレさだけど歌詞を調べたらまた違った聴こえ方がした。
最後の曲の歌詞も意味深で気になる。

8曲

合唱曲 スカイツリー
You&I
いつかどこかで(Album Version)